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副鼻腔炎という病名を聞いた事がありますか?英語ではSinusitisと呼ばれ、アメリカでは耳鼻咽喉科の医師だけではなく、内科医、家庭医、一般医、あるいは小児科医も使います。風邪を引いた後、前額や頬の痛みが続いたり、鼻詰まりや鼻水、微熱、咳が続く場合は、ひょっとしたらそれは副鼻腔炎の症状かもしれません。
副鼻腔炎は、アメリカでは、毎年3700万人もの人が少なくとも1回は罹っていると推測されているぐらい頻度の高い病気なのです。
副鼻腔炎とは?
副鼻腔炎とは、副鼻腔に起こる炎症、感染のことですが、副鼻腔は、鼻周囲の頭蓋骨内に存在する空洞のことです。4種類の副鼻腔が左右対称にあるので、計8つ存在することになります。眉の上にあり、額の内側に存在する前額洞(frontal sinuses)、頬の内側にある上顎洞(maxillary sinuses)。鼻の奥で目と目の間にある、し骨洞(ethmoid sinuses)。その更に奥にある蝶形骨洞(sphenoid sinuses)。おのおのの副鼻腔は鼻と繫がっていて、空気や粘液が行き来します。また、副鼻腔の内側は、鼻の内側と同じような粘膜に覆われています。したがって、鼻の内側で起こる、感染、炎症、アレルギーは、副鼻腔の内部でも起こることになります。鼻と繫がっている通路が粘液や膿で詰まると副鼻腔炎が起こります。
急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎
副鼻腔炎は短期の急性副鼻腔炎と、長期続く慢性副鼻腔炎とに分けられます。1年以内に何度も急性副鼻腔炎になると再発性副鼻腔炎とも呼ばれます。慢性副鼻腔炎で、副鼻腔に膿が溜まった状態を日本では、一般的に「蓄膿症」と呼ばれています(蓄膿症は実際には、副鼻腔の感染だけを意味する言葉ではなく、体内の空洞に膿の溜まった状態を意味します)。
副鼻腔炎の症状
副鼻腔炎の症状としては、前述したように、額や頬の痛み、朝起きたときに起こる頭痛、鼻の周辺が詰まった感じ、口臭、上の顎や歯の痛み、眼瞼や目の周りの腫れ、鼻詰まり、色のついた鼻水、匂いに対する感覚麻痺、稀に耳痛、頭頂部の痛み、首の痛みがありますが、副鼻腔炎の部位によって出てくる症状も変ってきます。
副鼻腔炎の原因
急性副鼻腔炎はよく風邪を引いた後に起こりますが、これは風邪ウィルスが副鼻腔に炎症を起こすためです。副鼻腔内に炎症が起こり、副鼻腔の出口が狭くなると、中で発生した粘液は副鼻腔外に出にくくなり、中に留まります。すると細菌が繁殖しやすくなる条件が整ってきます。風邪ウィルスの感染だけでは、副鼻腔炎の症状は起こらないですが、一旦細菌が感染すると上述したような副鼻腔炎の様々な症状が始まるのです。
副鼻腔炎を起こす細菌は、健康な人の上気道に普通に存在する連鎖球菌などの細菌が主ですが、普段は感染を起こさないのですが、風邪を引いた後に、副鼻腔に炎症が起こるというような引き金があると、感染を起こすようになります。
花粉症(アレルギー性鼻炎)や喘息などのアレルギーのある人も、副鼻腔炎を起こしやすくなります、その他、HIV感染症など免疫の低下、大気の汚染も副鼻腔炎のリスクになります。
副鼻腔炎の診断
風邪を引いた後や鼻アレルギーの後に、副鼻腔の辺りに痛みがあるか、発熱など、前述したような副鼻腔炎の症状があれば、診断は難しくはないのですが、典型的な症状もない事が多く、診断が難しいことがあります。特に慢性副鼻腔炎は、他の病気と症状もオーバーラップしていることがあり、診断は容易でないことがあります。
ほんの少し前まで、副鼻腔炎の画像診断は、副鼻腔のX線に頼っていましたが、最近はほとんどCT(コンピューター断層撮影)で、副鼻腔像だけを狙って取る方法が利用されています。コスト的にも副鼻腔だけのCTは頭部全体のCTに比べかなり安いようです。内視鏡検査も行われる事があります。副鼻腔炎のリスクとして、アレルギーがあると、アレルギー検査も重要になります。
子供の副鼻腔炎
出生時には、小さいながら上顎洞とし骨洞の2種類の副鼻腔が存在しますが、4種類の副鼻腔が完全に成長するのは20才前後までかかります。子供の副鼻腔は小さく、診断も難しいのですが、次のような症状があると、副鼻腔炎の可能性が高くなります。10−14日以上続く「風邪」、黄緑色の鼻水、後鼻漏、目の周りの腫れ、頭痛などです。
副鼻腔炎の治療
急性副鼻腔炎の治療は、痛みの治療=抗炎症鎮痛薬、感染の治療=抗生物質、うっ血の治療=うっ血除去剤、鼻アレルギーの治療=ステロイドの鼻スプレーや抗アレルギー薬、という具合に分けられます。抗生物質は、副鼻腔炎の治療には最低10日ないし14日間程度は必要です。市販のうっ血・鼻づまりの薬は最大3日間まで使用できますが、それ以上使用すると逆効果になります。
慢性副鼻腔炎の治療も基本的には急性の場合とほとんど同じですが、急性副鼻腔炎よりも治療は困難です。症状を緩和するために、加湿器や生理的食塩水の鼻スプレーも使われます。痛みのある部分を暖めることもいいことです。
子供の場合、鼻の奥にあるアデノイドという組織を除去すると改善することがあります。又、大人の場合、慢性副鼻腔炎のある人で、鼻ポリープのある人はその除去をします。また、鼻中隔という鼻の仕切りを矯正する手術をすると、副鼻腔炎症状が著しくよくなる人もいます。
内科的治療が効果がない場合、外科的な手術を行います。最も一般的な外科手術は、内視鏡下で副鼻腔の出口を大きくし、中の粘液などの排出を促進するやり方です。
副鼻腔炎の予防
一番大切なことは風邪にかからないということですが、冬に人の中で仕事や勉強をする人は難しいかもしれません。部屋で暖房器を使用して乾燥する時は、加湿器を使用してください。エアコンや、冷暖房器に静電気フィルターを取り付けてアレルギー源を絶つのもいいかも知れません。たばこやアルコールを避けるのも大切です。水分の十分な摂取、飛行機の使用を避ける。避けられない時は、鼻詰まり用の鼻スプレーを離陸着陸時に使用。鼻をかむ時は穏やかに、そして、他方をおさえながら片方づつかむ、などの注意も必要です。
サンディエゴの地元日系紙「ゆうゆう」の2005年1月1日号に掲載。 |