| 第22回 肘内障(ちゅうないしょう) |
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症状:子供の手を引っ張った後、子供が腕を動かさない
J君は3才の男の子。公園で歩いている時に転びそうになったので、横にいたお母さんがJ君の右腕を強く引っ張ったところ、その後J君は右腕を動かさなくなりました。骨折を心配したお母さんはJ君をかかりつけの小児科医に連れて行きました。話を聞き終えた小児科医は、J君の右腕をつかんで、回転させるように伸ばしたかと思うと、先程まで全然腕を動かそうとしなかったJ君がゆっくり右腕を動かし始めました。 肘内障は「とう骨頭亜脱臼」のことで、英語ではSubluxation of the radial head あるいはpulled elbow やNursemaid’s elbowとも言われますが、5才以下の子供に多い、肘部分の亜脱臼です。前腕を構成する2つの骨のうち、親指側の骨がとう骨、小指側の骨が尺骨ですが、そのとう骨の肘側の付け根の部分を「とう骨頭」と呼びます。5才以下の子供は、このとう骨頭が未発達な上にそれを取り巻く腱の部分が弱いので、勢い良く腕を引っ張ると、とう骨頭が部分的に抜けてしまう(亜脱臼)ことになるのです。普通、J君の場合のように子供の腕を急に引っ張った時に起こりますが、ベッドから落ちて肘内障になる子もいます。 肘内障になると、子供は一般的に痛みで腕を動かさないので、腕を伸ばしたままにしているか、反対の腕で肘内障側の腕を支えていたりします。肘が少し腫れている時もあります。痛いのは肘ですが、子供から「肘が痛い」とは普通言ってくれないので、「腕が肩から抜けてしまったのでは」と考える親もいます。 治療は、簡単な整復で治りますが、整復経験のない医師もいますので、受診前に、「肘内障かもしれないが、整復は可能か」と、問い合わせするのがいいかも知れません。アメリカでは、救急室のドクターでも整復しない人がいますので、かかりつけの小児科医にまず聞いてみてください。 肘内障になって12時間以内であれば、普通に整復すると、数分以内に、何事もなかったかのように子供は腕を動かし始めます。12時間以上たっていると、整復後もすぐに腕を動かさないことがあるので、三角巾などによる腕の固定が必要になる場合があります。また、普通は腕のレントゲンは必要ありませんが、痛みと腫れが続く場合、あるいは明らかな肘部分の変形がある場合は骨折の可能性があり、レントゲンが必要です。 サンディエゴの日系紙「Lighthouse San Diego」に2004年8月16日号に掲載。
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