第19回 食道胃逆流症 (GERD)
症状:胸焼け、えん下困難、咽頭痛

46才のEさんは数ヶ月前から喉の痛みを訴えています。最近咳も長く続き、市販の咳止めもあまり効かないので内科医を受診しました。時々飲み込み困難もあり、咳も続くので内科医は食道胃逆流症を考え、抗酸剤を処方しました。症状はやや改善したものの、咽頭痛は続くので耳鼻科医に咽頭をファイバースコープで検査をしてもらったところ、咽頭部に炎症所見があることがわかりました。

食道胃逆流症(GERD=Gastroesophageal Reflux Disease)は頻度の高い病気で、典型的な症状である胸焼けは報告によっては、大人の2割―5割近くの人が過去経験があると答えています。大半の人が、無治療あるいは市販の抗酸剤で症状が改善していますが、中には非常に重篤な合併症を起こす人もいます。

食道と胃の間には括約筋という筋肉があり、胃の内容物が食道に逆流してこないように一定の圧力で閉じています。食道胃逆流症の約7割は、この括約筋の自然に起こる弛緩の最中や、括約筋の弛緩が長く続いた時に起こります。また、括約筋による圧力が慢性的に低い人もいますが、その圧力が極端に低い人は絶えず胸焼けの症状に悩まされることになります。

胸焼けは食後30-60分後に起こることが多いのですが、特に食後横になると胸焼けを起こしやすくなります。時には、食べた物がすぐに口の中に戻ってきたり、のみ込みが困難になる時もあります。それ以外の症状としては、喘息、慢性の咳や咽頭痛、胸痛などがありますが、他の原因による症状との区別が困難なことがあります。

検査は普通必要ではありませんが、胃カメラ(内視鏡)や胃バリウム検査が行われることもあります、診断を確定するのは通院で出来る、食道pHモニターと呼ばれる検査です。これは、鼻から下部食道までコードをたらして、24時間下部食道の酸性度を記録する検査で、普通に生活しながら検査ができます。

治療はまず食事などの生活様式を変えることです。例えば、食後は3時間横にならない。夜間に症状のある人は頭部を高くする。一回に食べる量を減らしたり、食事中に多量の水分を摂取しない。酸度の高い食べ物(トマト製品、コーヒー、スパイシーな食べ物)や胃に長く停滞する食べ物やそれを増悪するもの(脂肪分の多いもの、チョコレート、アルコール、喫煙)を避けることなどです。

薬物治療には、胃潰瘍などに使われる薬が使用されます。

サンディエゴの日系紙「Lighthouse San Diego」に2004年5月16日号に掲載。