第51回 正しい減量・ダイエットの仕方
diet_scale_small.jpgアメリカでは人口に占める肥満の人の割合が過去20年で著しく増えてきました。現在、61%のアメリカ人成人が太り過ぎか肥満と推定されています。そのため、減量のためのプログラムやダイエット産業も肥大化してきています。特定の食品項目を極端に制限するダイエット (例えば Low carb diet=低炭水化物ダイエット)、極端なカロリー制限、または或る病気を持っている人の減量は健康上のリスクを伴うことがあります。医師や臨床栄養士などに相談の上、正しい減量を行うようにしましょう。

太りすぎ、肥満の原因

 太り過ぎ、肥満の原因は、もちろんカロリー摂取とエネルギー消費のアンバランス、すなわちカロリー摂取がエネルギー消費を上回った結果として起こるわけですが、その程度は皆一様というわけではありません。肥満を決定する要因としては、遺伝的要素、子供時代の肥満、ホルモン異常、人種、教育水準、収入、外食の頻度、テレビの視聴、車の利用度、他にも環境要因などがあります。

肥満と健康障害

 体重の増加と共にいろいろな成人病の可能性が高くなってきます。高血圧、糖尿病、虚血性心疾患などです。また、睡眠時無呼吸症候群、腰痛、その他筋骨格系の異常などのリスクも上昇します。肥満を解消することによって、多くの成人病のリスクを下げることができるのです。

自分の適正体重を知る

 ダイエットを始める前に先ず必要なことは、自分の適正体重を知ることです。適正体重からどれだけ体重がオーバーしているのかを知ることによって、減量の目標を定めることができるからです。体重がオーバーしているかどうかは身長と体重の計算機で出すことができます。BMI (Body Mass Index=肥満度指数) と呼ばれているものですが、これは 体重 (kg) / 身長 (m)x身長(m)で表されます。例えば、体重80kg/身長170cmの男性ですと、BMI = 80/ 1.7 x 1.7 = 27.7 ということになります。

  普通体重は BMIが18.5以上25以下。25以上30以下は太りすぎ (Overweight)、30以上は肥満 (Obese) と定義されます。30から35までが1度肥満、35から40までが2度肥満です。また、40以上は「極度の肥満」で健康障害の頻度も非常に高くなります。

 BMIが25以上あり、腰回りが男性で102cm、女性で88cm以上の場合は、さらに虚血性心疾患などの健康障害を高める確率が高くなります。

目標体重を決める

 最終的には BMIが25以下になるように最終目標体重を設定しますが、現在体重の10パーセント減量が先ず目標です。身長170cmで体重85kgの人は、体重72kgが最終目標となりますが、先ず10パーセントである8.5kgの減量を目指します。この10パーセントの減量によって、肥満による様々な健康障害の可能性が少なくなります。減量の速度は週当たり最大500gから1kg 程度に設定します。それ以上の減量を行うと、減量に伴う健康障害が出てくる可能性があります。10パーセント減量を6カ月で達成するような目標を立てましょう。もし、その6カ月で10パーセントの減量が達成できれば、次にそのペースで目標体重まで続けます。

カロリー計算と減量

 目標体重を決めてこれから減量に取り掛かる人は、先ず1日当たりの食事からのカロリー摂取量と、運動等によるカロリー消費量を知る必要があります。体重の減量とは、すなわち摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やすことに過ぎないからです。体重がなかなか下がらない人は、実際に1日に取るカロリー数を知るところから始めましょう。必要以上のカロリーを摂取して、その上運動もしないで痩せるのはまず不可能だからです。

  1日に必要なカロリーは性別、体重、身体活動の度合いによって変動しますが、平均的な日本人男性の必要カロリーは2,300~2,500キロカロリー程度、女性は1,800~2,000キロカロリー程度でしょう。その1日当たりの必要カロリーから500~1,000キロカロリーほど低めの食事内容を決めます。これが目標カロリーです。500キロカロリーを下げると1日当たり55グラムの脂肪が消費されます。1カ月で1.6キロ、6カ月で約10kgの減量が可能になるわけです。

  現在、1日の必要カロリーが2,500キロカロリーで3,000キロカロリー取っている人は、500キロカロリー下げても現在の体重が維持できるだけで体重の減少にはなりません。あくまでも1日の必要カロリーの500キロカロリー減でなければならないのです。

正しいダイエットの方法

 減量は主に食事療法と運動療法を組み合わせて行うことになりますが、食事療法すなわちダイエットは、炭水化物などの特定食品項目の摂取を極端に減らすやり方ではなくて、バランスの取れた食事をしながら、全体のカロリーを下げるのが正しい方法です。その際、脂肪によるカロリーは全体のカロリーの3割以下を目標にします。Low carb diet は薦められません。炭水化物の1日の必要量は多くありませんが、最低100グラムは摂取しないと、脂肪を分解した時の代謝産物であるケトン体による弊害が身体に出てくる可能性があります。

  結局、消費するエネルギーの大半が炭水化物で賄われるので、炭水化物を必要以上に制限することはできません。脂肪はグラム当たりのエネルギー量が炭水化物やタンパク質の倍以上なので、必要以上に取ると多くのカロリーを摂取することになります。また、脂肪摂取過多による高脂血症、虚血性心疾患などのリスクを高めることにもなるので脂肪の摂取は抑えたいものです。

  ダイエットで大事なことは、ゆっくり摂取カロリーを減らし、特定の食品項目を除外しないで、バランスの良い食事をすることです。間食の多い人は先ず間食を減らすことにより、かなりのカロリー摂取を下げることが可能です。

  肥満度の高い人には超低カロリーダイエットによる減量方法もありますが、健康へのリスクが伴うため、必ず医師や臨床栄養士と相談をした上で行って下さい。

運動療法

 必要な運動量の設定は、日常生活でどの程度の身体活動をしているかにも関係がありますが、ジムへ行ったり、野外でのジョギングばかりが運動ではありません。先ず、日常生活上でできる運動を増やしていきます。例えば、エレベーターの代わりに階段を使用する、いつも駐車場の遠い所に駐車して歩く距離を増やす――など。

  1日に必要な運動量は最低150キロカロリーを消費する運動、すなわち歩行であれば時速3.6kmで45分のウォーキング、15分程度のジョギングなどですが、これを週に5日以上行います。この習慣を半年間継続すると2.1kg 程度、1年継続すると4.3kg 程度は体重を減少させることができます。150キロカロリー程度の運動はチョコレートクッキーを3枚ほど食べるともう帳消しになるので、ダイエット無しで運動だけで減量するのは無理がありますが、運動はカロリー消費以外に、心肺機能の維持あるいは向上、筋骨格系の機能維持や健康維持/増進のためにも必要です。歩行、水泳、ジョギング、縄跳びなどの有酸素運動を毎日30分以上行いましょう。

最後に

 ダブルチーズバーガー、エキストラサイズのフレンチフライと24オンスのソーダーを摂取すると約1,500キロカロリーになります。クッキーやケーキなども相当なカロリーがあります。果物のカロリーに比べて、こうした間食のカロリーは想像以上に高いものです。ご注意下さい。

サンディエゴの地元日系紙「ゆうゆう」の2004年10月1日号に掲載。