| 第35回 耳鳴り(Tinnitus) |
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耳鳴りは外界には聞こえない音が耳や頭の中で聞こえることを言いますが、耳鳴りには、聴診器などによって他者にも聞こえる耳鳴りと、その本人にしか聞こえない耳鳴りの2種類があります。
耳鳴りと一口に言っても実はジーンという音やブーンという音、口笛様の音、呼び鈴様の音、といくつもの種類があり、時々起こる軽度で、注意しないと聞こえないものから、持続性で大きく睡眠や集中力に障害を及ぼすものまであります。 耳鳴りの原因 ある報告によると、耳鳴りを訴える人のうち4割近い人は原因がわからず、原因のわかっている中では、4人に1人は騒音によるもので、耳鳴りの原因で1番頻度の高いものです。騒音の種類は、飛行機、ピストルや重火器、大音量の音楽、映画館、ロックコンサート、建築現場、ナイトクラブ、芝刈り機などによる音があります。1回きりで起こることもあれば長時間それらの騒音にさらされて起こることもあります。 その他原因としては、慢性中耳炎、耳硬化症、伝導性難聴、内耳迷路炎、メニエール病、老人性難聴、耳垢塞栓症、中耳の筋肉収縮、蝸牛(内耳の構造物)の異常など耳の病気によるものから、動脈瘤、動静脈奇形、静脈コマ音、アスピリンなどの抗炎症鎮痛薬や利尿薬、経口避妊薬やある抗生物質など薬の副作用、甲状腺機能亢進症、貧血、高脂血症、TMJ症候群(顎関節症候群)、頭部外傷、グロムス腫瘍(まれな血管腫)、その他の腫瘍、脳圧亢進、歯科治療による副作用、聴覚過敏と極めて広範囲にわたりますが、前にも述べたように原因のわからないことも多いのです。 長期の耳鳴りは難聴と関係のある場合があるので、専門医の受診が必要になります。心臓の拍動様の耳鳴りは要注意です。首の内頚動脈や脳底動脈の閉塞や腫瘍などが原因になることがあるからです。 耳鳴りの診断 まず、ある薬の服用や騒音に対する暴露がないか調べ、一般診察を受けます。次に神経学的診察、音さ、耳鏡や聴力検査が行われます。オージオグラム、CTやMRIも適応があれば行われます。神経性難聴があればBAERという脳幹聴覚誘発反応というテストが行われることがあります。他に貧血検査や甲状腺検査が場合によっては行われます。耳鳴り以外に、難聴、めまい、平衡感覚異常、頭痛などの症状が伴っていると、鑑別診断がより狭まってきます。 他人にも聞くことができる耳鳴りの内、拍動性の耳鳴りは血管系の異常、呼吸に伴う耳鳴りは耳管開存によるもの、持続性の耳鳴りは静脈コマ音の可能性が高く、本人にしか聞こえない耳鳴りは、神経学的検査が正常であれば、オージオグラムである程度鑑別はできます。 治療と予防 治療は薬物治療、バイオフィードバック、鍼、マスキング法と様々な治療法が試みられていますが、どれも一長一短があり、効果は個人差があるようです。民間療法でもナイアシン、レシチン、イチョウの実など試みられています。 薬物療法では、ノルトリプチリンなどの抗うつ薬、ザナックス(Xanax)などの抗不安薬が多く使われていますが、ノルトリプチンがこの中では一番効果があるとされています。しかし、うつ傾向のない人にはあまり効果がないとの報告もあります。リドカインという抗不整脈の注射で耳鳴りが軽減する人もいますが、長期治療には適していません。その他 亜鉛、利尿薬などの薬物療法も行われています。 外科手術、バイオフィードバック、鍼、ストレスのマネジメント、補聴器のような器械を装着し音楽などの音を聴く(マスキング)、高圧酸素療法、聴覚統合訓練(AIT)も試みられています。 予防はなりよりも騒音にさらされる前に耳栓や耳カバーなど適当に騒音防止対策を立てることです。大きな音楽をヘッドホンで長時間聴くような行為は、耳鳴りだけではなく難聴の原因にもなるので注意が必要です。 マスキングによる治療 補聴器のようなもので、他の音を聞くことによって耳鳴りをマスクキング(隠蔽する)する治療法ですが、長期耳鳴りがあって他に効果的な治療法がないような場合有用です。害のない音を聞くことによって耳鳴りが気にならなくする方法ですが、耳の中に留置させるタイプのものや耳の外に補聴器のように装着するタイプのものまであります。波の音や滝の音、あるいは他のいろいろな自然の音でもかまいません。普通の補聴器も外界の音を増幅させるので、マスキング効果があります。その他CDプレーヤーで音楽を低音で聴いたり、扇風機をつけてその音を聞く方法もあります。 サンディエゴの地元日系紙「ゆうゆう」の2003年6月1日号に掲載。
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