第38回 性器ヘルペス (Genital herpes)
症状:外性器の痛み、水疱、排尿痛

25才のT子さんは、2ヶ月程前から新しいボーイフレンドとセックスをするようになりましたが、3日前から外陰部に水ぶくれができ、それが破れ、痛みを起こすようになりました。近所の医師を受診したところ、ヘルペス治療薬を処方され、症状は改善していきました。

ヘルペスは、主に口にできるヘルペス=口唇ヘルペスと性器にできる性器ヘルペスの2種類に分けることができ、一般的には、口唇ヘルペスはヘルペスウィルス1型(HSV-1)、そして性器ヘルペスはヘルペスウィルス2型(HSV-2)で起こるのですが、性器ヘルペスの約2-3割近くは、1型ヘルペスで起こっています。1型ヘルペスの場合は、1回きりのことが多く、何度も繰り返す性器ヘルペス(再発)は、ヘルペス2型が原因になっています。

性器ヘルペスは、性交渉(主にセックス)を通じてうつる性感染症ですが、症状のない人も感染源になります。感染しても症状が出ない人が大半で、自分が感染しているのかどうかさえもわからない人がほとんどです。症状が出る場合は、感染後2週間以内(4-10日前後)に、水ぶくれ、潰瘍、排尿痛、ムズムズ感、灼熱感、痛み、あしの付け根のリンパ節の腫れなどの症状がで、時には太ももにも病変が出たり、発熱を伴うこともあります。

ヘルペスに一度感染(初感染)すると、ヘルペスウィルスは腰椎近くの神経節に一生潜伏し、時々、水ぶくれ、潰瘍などを外性器に形成(再発)しますが、再発する頻度は個人差があります。大半の人は初感染から一年以内に数回は再発します。再発ヘルペスの症状は、初感染の時の症状よりも軽いのが普通で、年数が経つ程その回数は少なくなっていきます。外性器に水疱や潰瘍などの病変がなくてもヘルペスは感染します。アメリカでは、少なくとも5人に1人の大人やティーンエージャーが性器ヘルペスに感染しています。

診断は、その特徴的な臨床症状・診察と、ウィルス培養、免疫テスト、血液検査などで行います。検査によっては、ヘルペス1型と2型の区別ができます。治療には現在、3種類の抗ウィルス薬が使用されています。アシクロビル(acyclovir = 商品名Zovirax)、バラシクロビル(valacyclovir = Valtrex)、ファムシクロビル (famciclovir = Famvir)。初感染と再発では、薬の量やのみ方が違うので注意してください。

記事中の患者さんは架空の患者さんです。

サンディエゴの日系紙「Lighthouse San Diego」に2006年2月16日号に掲載。