第37回 熱性けいれん (Febrile seizure)
症状:けいれん、発熱

1才3ヶ月のTちゃんは、朝から熱を出し、昼過ぎに、突然両手両足をぴくぴくさせ、両目が上の方に向いてしまい、おかあさんが、体を揺すっても、全然反応しなくなりました。心配したお母さんは、救急車を呼びましたが、救急車が到着する前に、Tちゃんのけいれんは止まりました。

熱性けいれんは、生後6ヶ月から5才までの間に起こる、発熱に伴うけいれんで、両腕、両足を対称的にけいれんさせるのが普通です。大半は、発熱の初日に起こります。けいれんは1-2分間程度ですが、中には15分以上続くこともあります。けいれん中は意識や反応がなく、たいてい目をどちらか一方に向けています。子供の2-3%が熱性けいれんを起こし、その3分の1は再度熱性けいれんを起こします。

熱性けいれん自体は、体や脳に対して害はありませんが、転倒したり、口の中の食べ物などによる窒息の可能性があります。熱性けいれんを起した子供の2-3%は、将来てんかんを持つようになります。特に、けいれん時間が長い、体の一部のけいれん、24時間以内の再発、脳性まひ・発達遅延・神経学的に異常のある場合です。

熱性けいれんを起こし場合、まず、子供を床など安全な所に移し、窒息の危険を避けるために、子供を横向けか、うつ伏せに寝かせます。口の中に何か入っていれば、注意して、それを取り、また、けいれん中に子供の口の中に何も入れてないでください。もし、10分以上続くけいれん、首の硬直、頻回の嘔吐、意識が障害があれば救急室に連れて行ってください。

典型的な熱性けいれんの場合は、特に検査が要りませんが、髄膜炎や細菌感染の可能性がある場合、熱の原因がはっきりしない場合では、尿検査、血液検査、脊髄液検査などが必要になります。頭のCT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像)は必要ありません。

熱性けいれんに対する治療は特にありませんが、発熱に対しては、アセトアミノフェン(商品名:タイラノ-ル)やイブプロフェン(商品名:モトリンあるいはアドビル)を使用します。ただし、熱ざましで、熱性けいれんが予防できるわけではありません。熱性けいれんを起こしやすい子供には、ジアゼパンなどの抗けいれん薬で、熱性けいれんの予防をすることがありますが、大半の子供には抗けいれん薬による予防は不要です。また、発熱の原因が細菌性の時は抗菌薬が必要になります。

サンディエゴの日系紙「Lighthouse San Diego」に2005年12月16日号に掲載。